東京の染め

江戸小紋

江戸小紋は遠目だと無地に見えるほど精緻な文様を繰り返し型染めした、約400年の歴史を持つ江戸伝統の染めもの。細やかな点で曲線を表現した「鮫」や、整然とした並びが美しい「し」などの格式高い柄は、普段着としてはもちろん、準礼装としても着ることができます。

素朴な雰囲気の伝統柄から着る人らしさを表現できる遊び柄まで、そのバリエーションの豊富さが選ぶ楽しみのひとつとなっています。また「江戸小紋は色で着る」と言われるほど、同じ柄でも色によって印象は千差万別。シックにもモダンにもなる色の持ち味も魅力です。


江戸小紋の着こなし

江戸小紋の着物は帯合わせによって雰囲気の変化を楽しむことができ、コーディネートの許容範囲が広く重宝します。モダンな印象の染め帯を兵児帯風に結べば、カジュアルな着こなしに。

茶席には江戸小紋の着物に、礼装やセミフォーマルの装いで活躍する袋帯を合わせて。晴れやかな薄紅色の五節句文様に、鎧のモチーフが織り出された帯を合わせれば、落ち着いた華やぎと格式のある着姿に仕上がります。


江戸の庶民に愛された「いわれ柄」を楽しむ

江戸小紋には、かつて庶民が生み出したユーモア溢れる柄がたくさんあります。唐茶色の着物を染め上げる、大根とおろしがねのモチーフが続く文様は、収穫を願う縁起担ぎとして好んで着られました。愛らしい雪輪をあしらった帯を合わせて、和装ならではのカジュアルなコーディネートを楽しんで。


格式高い柄も色次第で雰囲気が様変わり

整然とした並びが美しい「角通し」の文様。江戸小紋のなかでも別格扱いとされる「三役」のひとつで、紋を入れれば礼装として着ることができます。染め上げる色によってその印象はさまざま。は女性らしさを感じさせます。雅楽器の刺繍を施した袋帯を合わせれば、お祝いの席などにもふさわしい装いに。

東京染小紋の制作現場

小紋柄は、無地に見えるほど細かく文様を施したものが品格高いとされます。そのため、高い技術を持つ彫り師による型紙は非常に精巧につくられています。

染め師は一枚の型を使って13メートル近い反物に糊付けのうえ染め付けをしていきますが、型をずらした際の境目をいかに自然につなげていくかが腕の見せどころのひとつ。また、手作業で糊を付けていくときにむらをつくらず一様に美しい柄を付けることも職人でなければ成せない技です。

着物のお誂え

今回ご紹介した「東京染小紋」「江戸小紋」「東京無地染」といった染めものは、その色や柄によって印象も用途もさまざま。同じ小紋柄でも色が変わると別物です。

東京都染色工業協同組合の工房では、職人の手により、既存の色柄の組み合わせに限らずオリジナルの色合いや文様を染め上げることもできます。白生地から染めるお誂えは、選択肢が無限にあり、最も自分に似合う色を選ぶことができます。

反物の価格は高価なものばかりではありません。手ごろに購入出来るものも多く、特別な意味を込めた小紋柄を自分へのご褒美に。また、友人や家族のお祝いとして贈っても喜ばれそうです。

東京の染め